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悪魔と天使【合同創作】

黒白の前夜

悪魔と天使/ノワールとセラフのクリスマス

「すみません、ノワールさん。もっとわかりやすい場所にあったはずなんだが……」
 ランタンを翳しながら見回す倉庫の中。二人が探しているのは、クリスマスツリーの頂きに飾る金色の星。
「ううん、大丈夫。あと、見てないのはこの棚だけだし。すぐ見つかる……」
 快活に笑うノワールの、指さした先を見たセラフがあっと声を出す。それにつられて振り返ったノワールもまた、同じように歓声を上げた。
「星の絵が描いてある箱……きっとこれがそうだよ!」
「ああ、こんなところに。よかった、これでツリーの飾りつけが無事に終わります」
「うん――そうだね」
 視線を泳がせた少女の変化に、青年は首を傾げた。倉庫の出口へ促されながら、ぽつりぽつりと口を開く。
「私の所にも、ちゃんとサンタクロースは来るのかな……。ブランシュはいい子だから大丈夫だろうけど」
 ほら、私は悪魔だから。
 先ほどまで目を輝かせていた彼女の落胆を見て、セラフは暫し言葉を選ぶように沈黙する。やがて、大丈夫ですよと請け負った。
「ノワールさんは今年一年も、きちんといい子でしたから。天使も悪魔も関係ありません。サンタクロースは、友達を大切にする子に、きっとご褒美をくれますよ」
「ほんと?」
「ええ。天にまします我らの主に誓って」
 いかんせん、バアドとセラフが二人のプレゼントを既に用意しているのである。プレゼントは確約されたも同然、それを明かせたらノワールの不安もすぐ払拭できるだろうが、夢を壊すのは宜しくない。
「さあ、ブランシュさんの待つ部屋へ戻りましょう。兄さんも居るでしょうし……まだツリーに星を飾る大仕事が残っていますからね」
「うん」
 大きく扉を開けて埃っぽい倉庫から整頓された廊下へ。ふと、何気なく振り返ったセラフの双眸が僅かに見開かれる。カーテンのない窓の外、広がる夜空を横切る流星のような影。
 それは紛う事なき、ソリに乗った聖夜の使者。
「――聖ニコラウス、貴方ですか」
 呟く声は、幸いにも誰かに届く事はない。
 もしかしたら、いや、間違いなく。
 明日のクリスマスに彼女達は自分達が用意したものと併せて、もう一つ分プレゼントを受け取る事になるだろう。