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悪魔と天使【合同創作】

悪魔の悲嘆

悪魔と天使/どうして私は私なの?

 世界はいつも優しくなかった。追い立てる闇からようやく離れて、ノワールは建物の影にへたり込む。長らくこれは自分が悪いのだと考えていた。何かが足りないから、そうでなければ何かが多すぎるから皆の輪に入れないんだ。仲間へ入れて貰う列に並んでも、目の前でいつも締め切りを食らって締め出される。

 膝を抱えて途方に暮れていた時に、同じ目線で話しかけてくれたのがブランシュだった。悪魔と天使、属する定めの違う相手を最初は警戒したが、ぽつぽつと互いに零れてくる言葉はどれもが胸に押し込んでいたものばかりだった。どうして皆と違うのだろう、どうして皆は違うと言うのだろう。話している内に悔しくなって、あの日は二人で大泣きしたっけ。でも、支え合える腕があってよかった。

 今日とは違う日、あの日から隔たった今日。買い物をしようと約束した時間はとうに過ぎていた。石造りの建物が教会だともわからず、ノワールは益々縮こまる。ブランシュは言った、これはノワールが悪いのではない、もしかしたらそもそも悪い人なんてどこにも居ないのかもしれない、違っているのは悪だなんて思いたくないんだと。一緒に唱えれば勇気が湧いてくる呪文も、一人では信じ切れない。違う事が悪くなくとも、嫌う彼らが悪くなかったとしても、やっぱり辛いのだ。邪険にされたり、影で笑われたり、躓かされるのが怖くて仕方無い。泣いている所を見られたらまた笑われる。目の前に人の気配が降り立った。驚いて顔を上げると、ちょんと鼻先を指先が優しくつついた。

「泣きべそをかいているのは誰でしょう? 隠れん坊の時間は終わりですよ、もうじきに日が暮れるのですから」夕日を背に立つセラフを呆気に取られて見上げていた。天使というのは、涙の匂いによほど敏感なのだろう。つんと痛む鼻の奥を誤魔化すように両手で目尻をこする。「あっ、あたし、泣いてなんかないもん……!」おや、と青年は素直に目を丸めたが、それ以上を問い詰めたりはしなかった。「では帰りましょう。今日は私達と夕食を囲んでくださるんですよね」ブランシュさんも兄さんも待っていますよ。そんな言葉と共に伸ばされた手が、翳りに囚われた体を呆気なく抱き上げた。またも思考の空白。直後に、ぼっと顔が熱くなる。「えぅ、ちょっ、じ、自分で歩けるからっ」「おやおや」「おろしてー!」「まあまあ」普段は融通が利かないくらい誠実な青年はなぜか聞く耳を持ってくれない。ぺちぺち肩を叩いてみてもびくともしないのだ、見た目は細身なのに。慌てるのも疲れてきた、そういえばお腹が空いていたのだと思い出す。できるだけ他者の目を引かないよう体を丸めると、今度は軽く頭を撫でられた。「今日は、クリスマスイブですからね」まるで何でも許される魔法の言葉のように。「今年も、あなた達の所へサンタクロースがやってきますように」