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夕暮れの時間を待つ、自分に合う棺の採寸をしてもらう今夜の予定を、なるべく考えないようにしている

死ぬるのが怖いのではなく、ただ、生きることは死ぬための支度にすぎぬのだと思ってしまうのが嫌なのだ、それが無意味だと思ってしまうのがいとわしいのだ

迎えなんてこない、呼びかけられても耳が聞こえない、走馬灯なんて見えない、目がもうない、不幸だ寂しいのだと嘯く口も既にないので、きっととても静かだろう

終わってしまえ、途切れた美しい小説のようにとまではいかずとも、私は自分が残した指紋を拭い取らぬままいく、数多の痕跡を残したまま、ずっとずっと先まで、足跡をつらねてゆく