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【一行小説】件

件序

 自らが持つ物語を全て話し終わった時がその人間の寿命なのだという化け猫の持論を鵜呑みにした客の男は、ならば語る話しが尽きなければ永劫を生きられるはずだと踏んだらしい、それからは金に糸目をつけずに古今東西の実話や寓話を集め始める、やがて頭の中へしまいきれぬ分は資料として編纂し始めたのがことの始まりだ、いつしか彼の資料庫は化け猫に唆され図書館として一般へ公開されるようになり、今日に至るまでずっと増築が続けられている。