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Rabbit

朧兎 Oborousagi

『春に朧月。夜の霞を晴らす一陣の風。日々是宴也』

月に住む兎が人の身を借りて降りてきた、春の化け物。一部の地域では花や月、ひいては春を齎す神として祀られており、それに見合う思慮深さ、公明正大さを備えている。人情に理解を示しており、そのためか感情表現が非常に豊か。綺麗な蝶を見つけて喜んでいたと思っていたら、逃げられてしまってしょげかえったりくるくると表情が変わる。華奢な童子の姿をしているが、小柄な体型に見合わず張りのある声を響かせ喋るとか。桜の木を根城にしている。

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夕暮れの時間を待つ、自分に合う棺の採寸をしてもらう今夜の予定を、なるべく考えないようにしている

死ぬるのが怖いのではなく、ただ、生きることは死ぬための支度にすぎぬのだと思ってしまうのが嫌なのだ、それが無意味だと思ってしまうのがいとわしいのだ

迎えなんてこない、呼びかけられても耳が聞こえない、走馬灯なんて見えない、目がもうない、不幸だ寂しいのだと嘯く口も既にないので、きっととても静かだろう

終わってしまえ、途切れた美しい小説のようにとまではいかずとも、私は自分が残した指紋を拭い取らぬままいく、数多の痕跡を残したまま、ずっとずっと先まで、足跡をつらねてゆく

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悪者退治

 世の中に絶対的な正義などないと訳知り顔で嘯く辻斬りは対峙する化け猫に手をひらつかせた、お前はお前の価値観で私を悪と断じているに過ぎぬ、私は私の物差しを持って悪を斬っているのだ、お前と私は何も変わらぬ、猫は口を開くのも面倒そうに唇を曲げて応じた、そうさ、俺は間違っても正義じゃない、ただ、てめえの物差しを他人へ押し当てて勝手に裁判ごっこを始める奴らをとっちめてるだけさ、なんのためにだって、そんなの決まってるさね、麗しい青年に化けた妖は笑う、単なる腹いせさ。

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 掲げたカンテラの明かりによって露わになって初めて、夜闇へ一匹の化け猫が紛れているのに気づいた。

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 我々が行き着く最果てとは何か。